ターニングポイントとなった作品に焦点をあてつつ、パイズリAVの歴史を振り返る。
黎明期(1987年~1994年頃)-パイズリに目覚める人が現れ始める-
1987年 北村美加「電撃的Fカップ」
まだ「パイズリ」という言葉が一般的には使われていない時代。北村美加という女優が作品内で何度かパイズリをしており、衝撃を受けたという話がある。(※世代ではないため掲示板等で聞いた情報です)
なお、パイズリの語源に関しては、タレントの山田邦子が「おっぱい」と「センズリ」をかけ合わせて作り出した言葉だという説が有力。(筆者にはそのような記憶はありません)
1993年 本木まり子「バズーカ」
タイトルに[全編パイズリ]と銘打たれており、AVで初めてパイズリに焦点を充てた作品と言える。この作品により「パイズリの扉を開かれた」という人もいるが、モザイクが濃く、今抜くにはかなりの想像力が必要かも。
過渡期(1994年~2003年頃)-AVにパイズリが組み込まれ始める-
1994年~ ザ・爆乳シリーズ
1994年からVCAがリリースしていた「ザ・爆乳」シリーズでは、パイズリシーンが収録される事が多かった。ただ、レンタルビデオに出回りにくく高額だったため、口コミ・レビューが少なく、埋もれている名シーンもあったと思われる。筆者も同様に手が出しづらかった記憶がある。
特に、制作していたシネマユニット・ガス作品(GAS制作ではない作品もあります)は、君津ゆうりの作品他、パイズリを収録している作品が多い。これらはVHS廃盤の後、GASが引き取り、DVD化・DL配信へと繋がっている。
1997年 綾波涼「乳王 巨乳パラダイス1」
後にアテナ映像作品等で頭角を現すことになる綾波涼の初期作品。男優の志良玉弾吾が、綾波涼の乳房を弄くり倒し、馬乗りパイズリでパンパンと音を轟かせ挟射フィニッシュするシーンが強烈なインパクトを残した。
1999年前後 アテナ映像 鬼闘光監督作品
1995年頃から、アテナ映像の鬼闘光監督がパイズリシーンを撮ることが多くなり、パイズリマニアには貴重なオカズとなった。アテナ映像作品は他メーカーよりもモザイクが薄く、パイズリを見やすかったことも大きい。
「ザ・カメラテスト」シリーズでは、鬼闘監督自ら女優にパイズリを手ほどきするシーンもあり、鬼闘監督作品にパイズリの良作が多い理由が伺える。
男優のチョコボール向井が、ヘルス嬢である橋本久瑠美にあっという間にパイズリでイカされるというシーンが印象的。
綾波涼の台所パイズリが有名。
南ゆかりのバニーパイズリ、綾波涼の女医パイズリが有名。
君津ゆうりの台所パイズリが有名。
鬼闘光監督作品により、突出した存在であった、綾波涼、南ゆかり、君津ゆうり、の3人は後に「パイズリBIG3」と言われたとか言われないとか。
1999年 パイズリクライマックス
ソフトオンデマンドから発売されたパイズリオムニバス作品「パイズリクライマックス」は、AV初のパイズリをタイトルに掲げたパイズリ特化作品として強いインパクトを残した。
南ゆかり、山咲あかり、等、キャスティングも的確でパイズリマニアには伝説的AVとなった。その後第2弾、第3弾とリリースされたが、パイズリをこなせる大きい乳房の女優が出演しなかったためか、シリーズ的には盛り上がらずに終了。
2000年代前半「挟射」が使われだす
パイズリが一つのジャンルとして確立して行くに伴い、マニアには「パイズリはしても、射精は手コキや男優がシゴく」というパターンが許せない・残念と思うようになってきた。
そこでマニア達は、挟まれながら射精することを「挟射」と表現することで、挟まれながら射精したか否かを即座に表現できる様にして区別するようになる。また、この単語が後にAVでも標準的な表現となり、手コキ・シゴキ出しの抑止することに繋がる。言葉のチカラは凄い。
成長期(2004年~2009年頃)-パイズリのメジャー化-
2004年~ 単体女優作品にパイズリが使われ始める
大浦あんな、彩名杏子、春菜まい、小春ひより、等のメジャーな女優が単体作品でパイズリをするようになってくる。
セルDVD全盛の時に、勢いがあったメーカーの一つであるエスワンが単体作品で「パイズリ」を銘打ったタイトルを松坂みるく、雪乃まひる等でリリース。監督は現在無記名になっているが秋秀人監督作品が多かったと思う。
決定打となったのは、驚異的な売上を記録した麻美ゆまのデビュー作でパイズリを取り入れたことだろう。
その後、「ギリギリモザイク 激パイズリ3 麻美ゆま」等、単体で「パイズリ」がタイトルに入った作品をリリース。パイズリはメジャーな存在となった。
2005年~ テクニックがある女優の出現
桃井りか、葉山くみこ、宮崎あい、等のマニア心を満たすパイズリ上手な女優が次々登場。2006年には、青山菜々、青木りん、黒沢那智のデビュー。杏美月を筆頭としたシネマユニット・ガスの台頭もあり、パイズリの有無だけではなく、女優のパイズリテクニックが求められるようになる。
後にパイズリレジェンドとなる桃井りかの貴重なパイズリ特化AV初期作品。ただし、この作品自体の出来はイマイチなので、「巨乳の虜 G100 桃井りか」「こんな女に挟射したい 谷間マ●コにそのまま中出し 桃宮もも」をオススメしたい。
後に、桃宮ももはインタビューで、パイズリについてホールドが大事であること、手コキにならないようにおっぱいだけでやるようにしていたと語っている。
パイズリ作品がシリーズ化され始める
パイズリ作品シリーズ化の元祖はSODの「パイズリクライマックス」だが、シリーズ化される作品が増える。
2006年 ギリギリモザイク 激パイズリ(全5作品)
エスワンの単体パイズリシリーズ。葉月奈緒、蒼井そら(廃盤)、麻美ゆま、青木りん、松島れいな、の5作品。すべて2006年リリース。当時は、秋秀人監督がパイズリを撮れる監督のトップバッターだったと思う。
2009年~2018年 行列のできるパイズリ屋さん(全17作品)
シネマユニット・ガスのパイズリシリーズ。杏美月、浅田ちち、波風きら、川伊まな、上原花、響りん、漣ゆめ、橘なお、愛川のあ、美波じゅん、夢野怜子、さくら悠、ももい理乃、塚田詩織、黒咲ひな、響りん&かおり、春菜はな、の全17作品。
爆乳メーカーというだけあって、ボリューミーなおっぱいでのパイズリがほとんど。挟射の数や飛距離にもこだわっている感もあり満足できる作品が多い。
成熟期(2010年~2016年頃)-パイズリAVの黄金時代-
パイズリのシリーズ作品が次々とリリースされる
2010年~2018年 凄いパイズリ、凄い挟射(全21作品)
ムーディーズが2010年から2018年にかけてリリースしたパイズリシリーズ。佐山愛、菅野さゆき、菜月アンナ、青山菜々、JULIA、Hitomi、杏美月、めぐり、西條るり、入江愛美、吉永あかね、春日もな、北乃ちか、ももい理乃、香山美桜、七草ちとせ、吉川あいみ、澁谷果歩、神咲詩織、春菜はな、祈里きすみ、の全21作品(FANZAに登録があったもの)。
五右衛門、タイガー小堺、のダブル監督をメインとして撮られた(後期はタイガー小堺監督か無記名)。タイトル通り勢いのある挟射が見られるとあって、挟射の飛距離にこだわるパイズリマニアの間で好評を博した。
2012年~2014年 こんな女に挟射したい(全16作品)
ドリームチケットが2012年から2014年にかけてリリースしたパイズリシリーズ。杏美月、綾瀬れん、本真ゆり、前田優希、黒沢那智、青山菜々、さくら悠、長澤あずさ、葉月奈穂、入江愛美、松すみれ、吉永あかね、永作ゆう美、春日もな、鈴村いろは、桃宮もも、の全16作品(FANZAに登録があったもの)。
すべて五右衛門監督作品で、セックスシーンもあるが、パイズリに重きをおいており、主観、客観、挟射数、すべてにおいてクオリティが高く、パイズリマニアが信頼を置くシリーズとなった。
2015年~2017年 優しいパイズリ(全8作品)
ドリームチケットが2015年から2017年にかけてリリースしたパイズリシリーズ。菅野さゆき、七草ちとせ、塚田詩織、三好亜矢、星野ひびき、可愛まゆ、小西みか、八束みこと、甘良しずく、春菜はな(VR)、の全8作品(FANZAに登録があったもの)。
「こんな女に挟射したい」シリーズの後釜となった形だが、「優しいパイズリ」というタイトル通り、ゆっくり優しくするパイズリするコンセプトがユーザーに刺さりにくく、やや不発に終わった感がある。
2010年~2013年 チ●ポを鍛える励ましパイズリセックス
ムーディーズが2010年から2013年に掛けてリリースしたシリーズ。佐山愛のナース姿のパイズリ挟顔射しているシーンが有名。
その他のシリーズ
- 2007年~2012年 パイズリしまくり敏感チクビ女(全5作品)
- 2010年~2021年 鬼パイズリ地獄(全12作品)
- 2012年~2014年 敏感爆乳パイズリ挟射(全8作品)
- 2013年~2014年 世界一受けたいパイズリ(全3作品)
- 2014年~2016年 淫語パイズラー(全10作品)
- 2017年~2018年 寸止め淫語パイズリ 最後はもの凄い挟射(全6作品)
氷河期(2017年~2020年)-パイズリAVの勢いがなくなる-
モザイクが濃くなることが原因?で勢いを失う
2016年後半から話題となりはじめたAV出演強要問題から、AV業界全体で自主規制強化が始まり、それを切っ掛けにモザイクが濃くなり始める。モザイクの濃さが作品の評価へダイレクトに響くパイズリAVのリリースが鈍化。
※モザイクが濃くなったのは、2016年に着エロDVDの過激化に伴う摘発で、警視庁生活安全部が審査団体に審査の慎重化を求めたのが原因という説もあります。
個人撮影(同人)AVの台頭
FC2コンテンツマーケットを中心に、無修正(もしくは薄いモザイク)で女性の顔出しがない素人が作るパイズリAVが流行しはじめる。「とろ乳~パイズリ挟射~@個人撮影」「みんなのパイズリ倶楽部」「パイズリ特化」etc…。
同人パイズリAVは、2021年のFC2販売者の無修正商品の一斉摘発、同年FC2が行った販売者の個人情報提出必須化、2022年にAV出演被害防止・救済法を受けてFC2が行った出演者(女優)の身分証明提出必須化により、一時的に勢いを失う。
元々モザイク加工をしていた「パイズリ向上委員会」、モザイクに修正を施した「挟射大好き!パイズリマニア」等が生き残る。(みんなのパイズリ倶楽部は後に復活)
そして、現在
適正AVにおけるパイズリAV
自主規制強化が適正AVという形で落ち着き、それに伴い自主規制前には及ばないもののモザイクの濃さも少し薄らいだ感があり、パイズリAVに復活の兆しが見え始める。
2020年~ パイズリスター誕生シリーズ
爆乳メーカーのシネマユニット・ガスが、AV女優にパイズリテクニックを伝授して実践してもらうというコンセプトのパイズリスター誕生シリーズをスタート。若月みいな、宝田もなみ、夕季ちとせ、姫咲はな、塚田詩織、水原みその、有岡みう、小梅えな、等が出演。
パイズリが苦手な女優がパイズリ上手に、パイズリ上手な女優はより上手に、パイズリAVの向上・底上げ的な役割もあり、期待されているシリーズと言える。
パイズリのテクニックに関しては、杏美月が引退後にブログで書いた「パイズリについて思うことの文」が、非常に印象深く、マニア必読。
2021年~ こんな爆乳に挟まれたい…シリーズ
エスワンが、単体女優が出演するパイズリシリーズ「こんな爆乳に挟まれたい…」シリーズをスタート。夕美しおん、小宵こなん、汐世(有栖花あか)、鷲尾めい、安位カヲル、夢乃あいか、奥田咲、安達夕莉、うんぱい、等が出演。
このシリーズはドリームチケット時代に五右衛門監督がメインとなってシリーズ化されていた「こんな女に挟射したい」のエスワンバージョンとしてパイズリ好きに期待されているが、専属女優という縛りもあり、きちんと挟めるだけの胸の大きさがない女優まで出演していることから、メジャーメーカーならではの苦労がうかがえる。
2022年後半~ AV出演被害防止・救済法(AV新法)の余波
AV出演被害防止・救済法の「出演者は撮影時に同意していても、公表から1年間は無条件に契約を解除することができる」という条項が女優だけでなく男優にまで及ぶと解釈され、メーカーはパイズリ男優の確保が難しくなっている。
男優の人数が増えれば増えるほど契約解除(販売中止)のリスクが増えるため、パイズリ射精が苦手でも信用のある男優を使いたがる=挟射の飛びの悪化につながる。さらに、撮影1ヶ月前に契約を結ばなくてはならないことも困難度を高めている。
また、新型コロナの影響もあり、撮影当日の抗原検査の結果や発熱の有無で現場に来れないケースも想定され、予備の男優を一ヶ月前から用意するということも必要になってくる。もちろんノーギャラでスケジュールを抑えることはできないので制作費も増大。飛びの良い挟射が多いパイズリAVは、それなりのリスクと制作費を掛けて作られているので、是非購入して支援して欲しい。
そして、AV女優のデビューもAV新法の影響を受け半減している。相対的に巨乳AV女優の新人も激減しているので、新人のパイズリモノが出にくくなっている。
本コラムについて
このコラムは、某所に寄稿したものを引き戻し(買い戻し)加筆して掲載しています。アイキャッチ(タイトルの背景)画像は「行列のできるパイズリ屋さん 初公開!気持ちいいパイズリ新型 ももい理乃」より引用。
コメント
コメント一覧 (2件)
大変参考になります。
日本史、世界史に続く、パイズリ史。
必修科目ですね。
(年がバレますが)私の場合、パイズリを初めて映像で見たのは、あの『口全ワイセツ』シリーズの一作目である藤あかねの『口全ワイセツ』です。タイトル通りフェラチオを売りにしていましたが、おっぱいビンタやパイズリ抜き(疑似かも知れませんがパイズリ発射も!)といった藤あかねのおっぱいを使ったプレーも結構ありましたね。あとは予告編だけ見ましたが、立原友香もパイズリプレーをアリーナの作品でやってたのを記憶しています。
(余談ですが、洋モノだとやはりクリスティ・キャニオン姐さんです。自分の住んでるところの今は無きレンタルビデオ店で、洋モノAVを借りてみたことがありました)
長々と失礼しました。